地図地理検定とは
地図地理検定は、一般財団法人日本地図センターと公益財団法人国土地理協会が共同開催する、地図の読み方・地理の知識・地図情報に関する総合的な知識を評価する検定試験です。
地図は単なる道案内ツールではなく、地形・植生・歴史・文化・産業を読み解くための「情報の宝庫」です。国土地理院が発行する2万5千分の1地形図には、等高線・記号・地名・標高など膨大な情報が詰まっており、これを正しく読む力は防災・登山・国土計画・地域研究など多くの分野で不可欠なスキルです。
地図地理検定は**「地図を読む力」と「地理的知識」を体系的に評価する国内唯一の総合地図検定**として、地理の教師・防災担当者・登山家・旅行者・GIS技術者まで幅広く受験されています。
受験資格
年齢・学歴・職業に関係なく、誰でも受験できます。
試験の構成
地図地理検定は「基礎」と「専門」の2レベルで実施されます。
基礎試験
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 50分 |
| 出題形式 | 多肢選択式 |
| 合格基準 | 100点満点中60点以上 |
| 合格率(参考) | 約78%(第40回実績) |
| 内容 | 地図記号・方位・縮尺の読み方。基礎的な地形図の解読 |
基礎試験は地図の初歩的な知識を評価します。国土地理院発行の地形図に使われる地図記号(100種類以上)・等高線の読み方・縮尺の計算が中心です。
専門試験(1〜3級認定)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 60分 |
| 出題形式 | 多肢選択式(上位者に1〜3級を認定) |
| 認定基準 | 成績上位者を1・2・3級に振り分け |
| 合格率(参考) | 1級:3.7% / 2級:12.1% / 3級:24.3% (第40回実績) |
| 内容 | 地形図の高度な解読・地図投影法・GPS・GIS・地図史・地名の語源 |
専門試験は地図・地理の深い専門知識が求められます。合格者はその成績に応じて1〜3級の認定を受けます(全員が合格するわけではなく、上位成績者のみが認定)。
主な出題テーマ
基礎レベル
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| 地図記号 | 国土地理院制定の地図記号(神社・郵便局・消防署・田・畑・針葉樹林等)の識別 |
| 縮尺と距離 | 2万5千分の1・5万分の1等の縮尺で地図上の距離を実距離に換算 |
| 等高線 | 等高線の間隔から傾斜・谷・尾根・峠を読む技術 |
| 方位 | 地図上の方位(N・S・E・W)と磁北・真北の違い |
| 地形の種類 | 山地・丘陵・台地・低地・海岸平野・三角州・扇状地の区別 |
専門レベル
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| 地形図の高度解読 | 谷地形・尾根・崖・堰堤・土砂崩れ跡の識別。防災への応用 |
| 地図投影法 | メルカトル図法・モルワイデ図法・正距方位図法の特徴と用途 |
| GPS・GIS | 全球測位衛星システム(GPS・GLONASS・みちびき)の仕組み。GIS(地理情報システム)の基礎 |
| 空中写真・衛星画像 | 航空写真の読み方。衛星リモートセンシングの基礎 |
| 地図の歴史 | 伊能忠敬の日本全図・大日本沿海輿地全図の歴史的意義 |
| 地名の語源 | アイヌ語地名(北海道)・国字地名・難読地名の成り立ち |
| 国土地理院の役割 | 日本の基本的な測量の実施・電子国土基本図・電子地形図の整備 |
| 世界地理 | 大陸・海洋・主要山脈・河川の位置と特徴 |
| 日本の地理 | 日本の地形区分・気候帯・産業立地・都市の分布 |
合格率・難易度
| 試験 | 合格率(第40回参考) | 難易度 |
|---|---|---|
| 基礎 | 78.5% | 普通(地図記号と基礎知識で合格可) |
| 専門3級 | 24.3% | やや難 |
| 専門2級 | 12.1% | 難 |
| 専門1級 | 3.7% | 難関 |
試験日程
年2回開催(例年6月・11月)。全国主要都市の会場(テスト会場)で実施されます。
- 第45回: 2026年6月21日(日)
- 第46回: 2026年11月8日(日)
インターネット申込の受付は試験の約3ヶ月前から開始されます。日本地図センターの公式サイト(jmc.or.jp)で最新情報を確認してください。
各種割引制度
| 割引 | 対象 |
|---|---|
| 併願割引 | 基礎・専門を両方受験する場合 |
| リピーター割引 | 前回受験者 |
| 学生割引 | 大学生・高校生等 |
| シニア割引 | 65歳以上 |
| 地図倶楽部会員割引 | 国土地理協会の会員 |
勉強法
推奨学習期間
- 基礎: 1〜2週間(地図記号の暗記が中心)
- 専門3級: 1〜2ヶ月
- 専門1〜2級: 3〜6ヶ月
効果的な学習の進め方
- 地図記号を完全に覚える: 基礎試験の核心は地図記号の識別。国土地理院の公式サイトで公開している記号一覧表(約100種)をフラッシュカードで繰り返し覚える
- 地形図を実際に読む: 国土地理院の「地理院地図」(maps.gsi.go.jp)は無料で閲覧可能。自分の地元の地形図を見て、等高線から地形を読み解く練習をする
- 縮尺の計算に慣れる: 「地図上1cm=実距離○km」の換算を繰り返し練習。試験では計算問題が出るため、素早く正確に解けるようにする
- 地図の歴史を把握する: 伊能忠敬(江戸時代)・シーボルトの地図持ち出し事件・大日本沿海輿地全図の完成(1821年)などの歴史的事件を時系列で整理する
- 地形・気候・産業のセットで覚える: 地理は暗記科目ではなく、地形と気候と産業・文化が連動している科目。「飛騨高山の山岳地形→寒冷気候→木材産業・冬の観光」のように連鎖で覚える
専門1〜2級に向けた応用学習
専門上位級ではGPS・GIS・リモートセンシングなど、測量・地理情報の専門知識が問われます。国土地理院の公開している測量の基礎知識・地理情報システム(GIS)入門書籍を学ぶことが必要です。
おすすめ教材
- 「地図地理検定公式過去問集(基礎・専門)」(日本地図センター)— 試験傾向を知る最重要資料
- 「地形図の読み方」(各出版社)— 等高線・地形記号の読み方を図解で解説
- 「国土地理院の地図記号一覧」(公式PDF)— 無料ダウンロード可。基礎対策に必須
- 「伊能忠敬の地図」(歴史書・図録)— 地図の歴史の深い理解に不可欠
- 地理院地図(maps.gsi.go.jp) — 実際の地形図をオンラインで無料閲覧。読図実習に活用
関連資格
- 測量士・測量士補(国家資格): 測量の専門技術を認定する国家資格。地図制作・GISのプロを目指す方向け
- 地理情報システム学会認定GIS学術士: GIS(地理情報システム)の高度な知識を認定する学術資格
- 気象予報士: 気象と地理は密接に関連。地形と気候の理解を深めたい方に
- 旅行業務取扱管理者(国家資格): 旅行と地理の知識が重なる分野
- 防災士: 地形図の読み方・ハザードマップの解釈に地図地理検定の知識が直結する